赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

Amazonによる作品の紹介は・・・

「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編


独特の世界観がある「桜庭一樹


今までの作品は、ほんの少しばかり苦手だったりしたけど・・・

この作品に出てくる3代の女たちの内、ちょうど真ん中の母「毛毬」の時代が私の青春時代にかぶってくる。
自分の幼いころの時代の記憶から、青春時代、社会人になったころのバブル期そして崩壊。
物語と一緒に、その時代を返り見たり出来て楽しかった。


そして、私が生まれる少し前の日本ー理屈ではない畏れがまだ人々の心に宿っていた頃の日本に生きた祖母「万葉」が本当に魅力的。
なんとも可愛らしい。

昔の方が、清濁併せてすべてひっくるめて納めてしまう深い懐を持っていた時代のような気がする。



理屈で説明できない不思議な出来事を、「ありえない」と排除していってしまったら、自分の出来ること(可能性)も、どんどん排除されて、何も語れなくなってしまうということだろうか・・・と読み終えて思った。