追想五断章

追想五断章

「BOOK」データベースより
古書店アルバイトの大学生・菅生芳光は、報酬に惹かれてある依頼を請け負う。依頼人・北里可南子は、亡くなった父が生前に書いた、結末の伏せられた五つの小説を探していた。調査を続けるうち芳光は、未解決のままに終わった事件“アントワープの銃声”の存在を知る。二十二年前のその夜何があったのか?幾重にも隠された真相は?

見るからに重そうでしょう?
題名からも、表装からも、簡単にさらっと読める本じゃないよ〜って
言っている。。。

小説の中に、別な小説が挿入されている話って、集中力が途切れるせいか好きじゃない。長い話が挿入されている時に読み飛ばしたこともあるくらい苦手。
でも、この本の場合、読み飛ばす訳にもいかず・・・(短いので負担減だったし)


で、読みながら何度も寝ちゃうなぁとか、時間かかる本だなって覚悟して読み始めたのだけど、以外にグングン引き込まれて読んでしまった。

初め、五つの小説を残した北里参吾のことを、冴えないおじさんだと思って読んでいたの。
実生活では地味にしていて、その鬱憤を小説という形でしか吐きだせなかった中年、って感じ。

でも、友人の話で、派手で斜に構えた物言い、周りを煙に巻くような話し方。そして自尊心が高い。(まぁ、はっきり言って私好み。いきなり読み進むのにも熱を帯びた感じです 笑)
全く違った北里参吾が見えてきた時、この五つの小説が表すものも、
別の顔が見えてきた。

ここから、この五つの話が何を表すのか、「あーかな。こーかな」と一つ一つの話を指を折って確認しながら読んでいった感じで、凄く楽しかった。

普段とは違う読書で、面白かったな。