玻璃の天

玻璃の天


「街の灯」から、時が過ぎ、英子は少しだけ大人になり、時代は戦争の気配が色濃くなってきました。

前作「街の灯」の方が明るかったなぁって、パッと読んでの印象でした。
頭の回転のいいお嬢様が、モダンなベッキーさんの導きで、上手な感じで謎をとく。。。子どもがやっているから嫌味がない、真っすぐな感じ。


今回も、英子は真っすぐなんだけど、
これから先、どうするのかなぁ・・ってちょっと余計な心配。
戦争中になったら、真っすぐな意見は言えなくなる。

本書で触れられた「君死にたまふことなけれ」。
弟に死ぬなということは、社会的には弟を追い詰め、逆に「死」を志願させてしまうかも・・・
でも、全世界の「弟」を救うためには声高に言っていかなくちゃ。。。


主義・主張ってどういうことなのか、考えさせられるわ。

主義に胸を熱くさせ、十字軍になりたいと奮起させてしまうような神は
悪だ!と・・・こんな風に深く考えたことなかったなぁ。


「お兄様」のノンビリとしたキャラに救われていたけれど、
それでも、理屈っぽいな・・・という会話が続きます。
本で読む分には全く平気というか、こんな風に知的な会話がしたい!
と思うほどなのだけど。。。
でも、今の時代に英子がいたら、間違いなく引いているだろうな・・私。

《玻璃の天》では、ちょっと賢しらに、殺人事件に関わってきていて
ちょっと違和感が。


でも、ラスト、ベッキーさんが「参りましょう」と一言。
これは、時代の流れ的にどんな風な困難が待ち受けていても、
立ち向かっていくベッキーさんの姿勢なんじゃ???
って思いついた時は、かなり嬉しかったです。